あの行列も今は昔…。
たしか…20年ほど前に持ち帰りの親子丼弁当を食べたのが最後の人形町玉ひで。
創業宝暦10年(1760年)と、およそ250年以上に亘ってその味と暖簾を守り続けてきた超老舗の鶏料理屋さんです。
海外からの観光客はもちろん、国内の観光客にとっても東京ならではのグルメと言えば玉ひでの親子丼もピックアップされ、例にもれず我がパートナーも一度は行きたいと申して早8年。
車で通りがかったり街ブラした際にはお店前をチェックするものの、「何という行列…。」と毎度心が折れるほどの大行列を見ては諦めていました。
当時はTDLのように折り返して行列していて、いつ行ってもこの一角が人だかりのように見えるほど、ものすごい行列で埋め尽くされている光景も今は昔。
ビックリするほどの大行列だった玉ひでもコロナの影響を免れることはもちろんできず、観光客もチラホラ。地元の方なんかは持ち帰りがメインのようでした。
並んでいる方は3組ほどだったのでラッキーでしたが、各地で40度前後を記録する今年の夏、5分ジッと待っているだけで脳みそ溶けます。
玉ひでのHPによる御鷹匠仕事とは、その昔、将軍家の御前にて鶴を切る厳議に由来する格式の高い包丁さばきであるとのこと。
何でも、放血せずに〆た鳥の血を見せることなく直ちに骨と身に切り分け、さらには肉に手を触れることなく薄く切り仕上げる練達の秘法だとか…。
その技を代々守り継いで令和の今は8代目となるわけですが、江戸の頃には当然庶民が愉しめるはずもなく、地位もお金もあるごく限られた一部の人だけのお愉しみだったそうです。
後に軍鶏料理の料亭となり5代目の女将がお客様からヒントを得て親子丼を考案するものの、「器ひとつで食べられる丼物は料亭で出すものではない」「汁かけ飯のようなみっともないものは店では出せない」とし、店で出すことは許さず出前のみにて品書きにのったそうです。
出前の親子丼は大変人気だったそうですが、6代目、つまり現在8代目のお爺さまが亡くなるまでの約90年間お店での提供は一切していなかったとのこと。
5代目の女将は半ば遺言のように「これを店で出してはいけない」とし、6代目はそれを守り自分が生きている間は出すまいとしていたそうですが、自分が亡くなったら好きにしたらいいということで6代目が亡くなってから三回忌を待ち、後に東京名物となる親子丼が玉ひでのグランドメニューにデビューしたそうです。
時を経て時代が移り、庶民の食生活や提供するお店のサービスも様々に変化して、今でこそぽんこつのような一般市民が愉しめるようになったということで、改めてこの時代に生まれて良かった!と思います。
そもそもが料亭なので1階は接待や会食のための個室のようでしたが、案内された2階の大座敷も続き間なので襖を閉じれば個室になるような造りでした。
以前はもっと着席満卓に効率が良い配置だったと思われますが、壁向きに横並びや床の間に向かって横並びなど何とも不思議なレイアウト。これも飛沫感染を可能な限り防ぐためのお店側の工夫です。
ランチタイムは基本的に相席だったようですが、この状況下でそれはできませんよね…。お店の最新の案内にも「ご相席はいたしません」と記されていました。
席へ案内される前に食券を買い求めるスタイルなので、座ったらあとは待つのみ。冷たい麦茶と軍鶏だしスープがサービスされます。
セットについてくる鶏そぼろ煮のこじんまりとした蓋つきの子丼がかわいい。ほとんどの器に入っているこの玉ひでマーク。やっぱ、こうゆうオリジナルの器っていいなぁ。
生姜がきいてさっぱりとした味わい。白米と一緒に食べたくなります。
こちらもセットの仲間。鶏珍味として煮玉子と鶏ハムがやってきました。煮玉子は黄身までしっかり味が染みていて、鶏ハムはレアで滑らかかつ、しっかりとした歯ごたえで美味しい。
おお。器もなんだか親子な丼でかわいい。上に乗った子丼には香の物が入っています。
とろっとろの卵が美味しそーう!丼を持ち上げてみたらかなりずっしりと重い…!
出先の蕎麦屋や自分で作るくらいしか食する機会もなかなかない親子丼ですが、玉ひでの親子丼は醤油のきりっとした味わいと味醂のフワッとした香り、ほのかな甘さが江戸前らしい味わいです。
デザートの水菓子は今が旬、大好物のスイカです。ここにも金ぴかの玉ひでマーク。
つまようじもオリジナル。と思って開けてみたらつまようじじゃなくて黒文字でした。さすが、老舗は細部まで老舗です。
明りとりの窓には杉のサッシと昔懐かしいサッシの鍵。建築マニアとしてはジロジロと部屋の設えなども見たかったのですが、平時ではない今はあまりウロチョロせず。
いずれ行こうねと言いながら、行列を見ては諦めていた東京名物の親子丼。お腹いっぱいいただきました。
が、一つだけ残念なことがありまして…。
親子丼の玉子の部分に金束子の破片(長さ1㎝ほど)が混入していて、口へ運ぶ前に気づいたので大事には至らなかったのですが、お伝えするべきか否か…。
少し躊躇しましたが、今後のオペレーションのための改善提案になればと思い、お伝えしました。
深々と重ねてお詫びくださり、金束子が混入していた丼の料金を返金するとのご提案もありましたが「今後に生かしていただければ」と辞退しました。
ほんと、人がやってることだからこんな事はよくあることで、よくある事だからこそ注意を怠ってしまうものです。
飲食店も各種作業現場も危険予知(KY)とヒューマンエラー(HE)を充分意識して、事故を未然に防ぐオペレーションができたらと思います!かまえて、ヨシッ!
返金を「そんなつもりではないので」と辞退したものの、お店を出るタイミングでも再び深々とお詫びくださり「せめてお持ちください」とお土産を渡されましたがこれを断るのはさすがに失礼かと思い、ありがたく頂戴しました。
自宅へ戻り開封の儀。何かな?
玉ひでグループが作った軍鶏めしの素でした。楽しみにとっておきましょう。
夜のコースにしかついてない「名物玉五プリン」がとても魅力的なので、今度はコースを是非頂きたい!
東京にはまだまだ名物店や行列のできるお店がいっぱいあります。この排除された「東京から出るな」「東京に来るな」のキャンペーン中に何軒いけるかなと毎週末楽しみに過ごしているこの頃です!
記載情報:2019年8月
住所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-17-10
TEL:03-3668-7651
定休日:
営業時間:全日11:30~13:00(L.O.)、平日17:00~22:00(L.O.21:00)
土・日曜・祝日16:00~21:00(L.O.20:00)
※8月の日曜は昼のみ営業、無休(夏季・年末年始を除く)
時短営業など実施している場合がありますので、お問い合わせ・ご予約時にご確認ください。
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