幼少から大人になるまでの間、家族の一員として犬とともに暮らしていたぽんこつです。
初めて迎えた犬は近所の酒屋が繁殖させた由緒正しき英国女子、イングリッシュ・セッター(セター)のフィールドタイプで、とても優しく明るい性格から誰からも愛される存在でした。
イングリッシュ・セッター(セター)は鳥に特化した狩猟犬で非常に賢く、複雑なコマンドを理解できる犬種です。
が、身体も大きく力も強かったので幼少の頃のぽんこつは散歩に連れて行けば市中引き回しの刑並みに引きずり回され、すりおろし状態で何度も血だらけになった思い出があります。
その昔は土手に放し、父親の口笛のみでコマンドコントロールして川辺に集まる鳥相手に狩猟訓練(実際に鳥を捕まえることは無い)に適応できるほど賢い犬でした。
あ、昨今ではどんなに飼いならされ、訓練された犬でもペットの放牧はタブーですので絶対にマネしないでください。
完全に家族の趣味ですが、その後もビーグルを迎えたり、パグを親・子・孫まで繁殖させたり犬がいる暮らしが当たり前で猫と触れ合う機会もほとんどなく過ごしてまいりました。
さて、そんなぽんこつも大人になり人生の伴侶と共に暮らし始めた頃、いつか分譲マンションにでも引っ越す機会があればペット可物件を探そうと話していたら、パートナーは「猫」を所望すると。
ぽんこつとしては当たり前のごとく犬のことしか考えていなかったですし、パートナーのどうやら深い(らしい)猫愛をこれまで認識したこともなく、当然のことながら猫と暮らすということを想像したり妄想したりしたことがただの一度も無かったので、その日から猫がいる暮らしについて初めて思いを巡らせることになりました。
「猫かー。猫との暮らしってどんなものだろう?」
それから4年後、賃貸物件から晴れてペット可分譲マンションへ引っ越し、猫を迎えることについて情報を集めるなど具体的に話が進みます。
お互いに心に決めていたことは、猫を迎えるならば「保護猫であること」と「兄弟姉妹で2匹同時に迎えること」でしたが、個人的に保護活動をされて譲渡サイトなどで里親募集されている方やNPO法人として活動されているボランティア団体など様々な譲渡スタイルがあることを知りました。
「保護猫であること」は譲渡サイトもボランティア団体も売買取引ではないので同様であることに間違いないのですが、個人の譲渡サイトでは悪質な取引も横行しているとのこと。
すべてが悪質なわけではないことは承知していますが、ここは経験豊富なNPO法人に頼ることとし、まずは直近で開催され住まいから一番近いボランティア団体主催の譲渡会に参加してみることに。
希望として「兄弟姉妹で2匹であること」については、留守の際に寂しくないようにということと、人間よりも気持ちを分かち合える存在がいることは猫にとってより良い暮らしになるのではないかという考えから至りました。
そんなに都合よくこちらの希望にあった出会いがあるとは思っておらず、実際に保護活動をされている方々へ初めて保護猫を迎え入れるにあたっての条件などを詳しく尋ねる目的でふらりと譲渡会へ。
路面のレンタルスペースでは会議用のテーブル、その上に猫たちが入っているケージが並んでいましたが、会場のざわざわと落ち着かないことを考慮してかそれぞれのケージにはタオルやカバーが掛けられていました。
ケージの中で里親との縁を待ってる猫たちは、仔猫もいれば譲渡会の常連のような成猫の姿も。
今回はやはり希望に沿った保護猫には会えませんでしたが、主催者に相談すると今日は連れてきていないけれど4か月前に兄弟で保護した成猫がボランティア宅にて保護されているとのこと。
特に仔猫であることにこだわりはなかったので、写真を見せてもらってすぐにこの子たちの里親になる事を決めました。
茶トラの怯えた眼差しや「人間は信じない!」とでも言いたげな黒トラの頑なな鋭い眼光に慣れてくれるまで時間がかかるかもしれないと思いましたが、たっぷりの時間と愛情を注いでいつか飼い主と認めてもらえるよう寄り添うことに決めました。
トイレや茶わん、水飲み場、猫タワー…猫たちを迎え入れる日まで快適に過ごしてもらえる設備と空間を用意して、とてもワクワク・ドキドキしながらお迎えに行ったことを覚えています。
DNA検査もせず親猫の元で保護した訳でもないので証明できるものは何も持っておらず、体格や性格に差こそありますが、この子たちは間違いなく兄弟でしょう。
ボランティアの方の話によれば、保護作戦を開始する前の観察期間にお互いに餌を譲り合う姿を見せたり、保護の際には先に保護された一匹を追い、探すようにもう一匹が鳴き続けていたということです。
何より我が家に迎えて3年となりますが、愛くるしく仲睦まじい姿を見ない日は一度も無いのですから。
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